妖精を打ち落とした日

さよなら妖精 (創元推理文庫)

さよなら妖精 (創元推理文庫)

昔、これを初めて読んだ時こんなかんじの感想だったんだが、改めて考えるに、ヒロインが旧ユーゴ出身という事を最初から書かれている時点でこの物語は悲劇です、と作者が宣言していると捉えるべきで、その悲劇に向って行く過程の青春模様を楽しむ部類の小説だったんだね。実はヒロインと出会ったこと自体、主人公や探偵役の少女からすれば悲劇で、もしヒロインと出会わなければ陰鬱に悩む事無く平穏だが楽しい十代の終わりを過ごしていたのだろうし、探偵役の少女なんて何かやさぐれてしまってまるで“セカダンの彩姉”だし…。しかし、それでもヒロインと出会った事による思い出や体験を無かった方が良かったとは、全く持って言えない訳で、悲劇だがそれでもボーイミーツガール最高と泣きながら称えるべき作品だったのですな。