ラノベの杜の新刊情報を見直すと六月二十日の頃の話だったんだろうか、ラ板のファミ通文庫のスレで「八月のラインナップは凄ぇな」とか言ったレスがあって、俺はそのレスに「でも、その頃はもう夏が終わっちゃってるね」とか書き込んだ覚えがあるんだが、予想以上に過酷な夏にはなったが、予想通り夏の終わりにエンターフレイン、ファミ通文庫の新刊を手にとる事が出来た。

“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫)

“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫)

う〜む、まぁシリーズ通してなんだがミステリとしてのオチは詰まらないが、ラノベとしてのラストは圧倒的に素晴らしい、今回は特に凄かった。今までは心葉との直接的な接触は無かった美羽だが今回は手のひらを返したように終始くっつきまくる、しかも美羽は重度のヤンデレだからもう読んでて痛いの何の、辛さのメーターが振り切れるとか振り切れないかギリギリのラインで物語は淡々と進んで行く、そしてラスト…ふー素晴らしい…。今回のネタは「銀河鉄道の夜」を中心とした宮沢賢治全般、その絡め方がまた良い。最近辛い事とか絶望する事か多く、幸せについて結構マジに悩んでたりしたので俺的にはタイムリーなラノベだったなあ…。
疾走する思春期のパラベラム デイドリーム (ファミ通文庫)

疾走する思春期のパラベラム デイドリーム (ファミ通文庫)

余り知られてはいないが、最も面白いライトノベルシリーズの一つ。今回は自主映画製作のウンチクがやや目立った物の、タイトルである「疾走する思春期」が心地良かった。“ここからネタバレ”    
事実上今までシリーズ最大の敵であったクロスドレッサーをかなり簡略しているのは計算された事で、ある種の陰鬱さと読書時の疾走感を両立させる手法だと思う。ヒロインは各巻ごとに振り子のように揺らめいているが、これは志甫がメインにあってからこそ出来る描き方で、今後、志甫のヤンデレ化を期待できる。ファミ通文庫らしくイラストと小説のシンクロは素晴らしいの一言に尽きる、今回絵師のタッチが微妙に違うが、表紙の志甫の横顔はなかなか思わせる物がある。